HOME > 会長あいさつ

会長あいさつ

「次代を見据え、高みを目指し、共に歩む」を目指して


愛知県小中学校長会長
都築 孝明
(幸田・坂崎小)

 会員の皆様のご推挙により、昨年度に引き続き令和6年度の愛知県小中学校長会の会長職を仰せつかりました幸田町立坂崎小学校の都築孝明と申します。浅学菲才、もとより微力ではございますが、皆様のお力添えをいただきながら、職責を全うしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今年度、本会は新たな校長先生方をお迎えし993名の組織となりました。私たち校長の職責は、校長それぞれがそれぞれの「学校」というリュックサックを背負い、子どもたちの笑顔や希望、教職員の期待や保護者・地域の信頼などを詰め込み、夢の実現という頂を目指して、一歩一歩歩み続ける「登山」のように私は感じています。自分に与えていただいたこの「リュック」は、他人に委ねることも、他人のものを代わりに背負うこともできず、自分自身の足で自立することが求められます。
 しかし、この「登山」は決して一人ではありません。本会の同志お一人お一人が全員山頂に無事たどり着くまで、互いに声をかけ、励まし合っていくのです。共にこの「登山」ができることへの誇りや自覚、そして、覚悟を持ち、同志の絆を確かめ合うことが重要であると感じています。
 さて、中国・戦国時代の思想家・孟子は、何か事を成すときの心得として「天の時、地の利、人の和」と説いたと言われています。令和6年度の発足に当たり、この「天地人」3つの観点から昨今の教育事情を見つめてみたいと思います。
 「天の時」…今、教育界は大きな変革期を迎えています。令和2年4月より新しい学習指導要領が全面実施され5年目となりました。この間、コロナ禍対策を求められつつも、「令和の日本型学校教育」の構築を目指してまいりました。35人学級編制やGIGAスクール構想の推進がなされた反面、不登校やいじめの問題、特別な支援を要する児童生徒への対応、教職員の働き方改革や教員不足等、より一層多くの課題を抱えています。併せまして、教員免許更新制が発展的に解消され、それに代わる「新たな教師の学びの姿」の実現を目指した研修の充実や教職員評価のより着実な実施も求められ、学び続ける教師としての矜持も試されています。こうした来たる新時代に向けた方向付けが求められるのが、この「今」、「天の時」であると感じます。
 「地の利」…私たちの住むこの愛知は、山野に囲まれ、川や海に面した豊かな自然環境に加えて、県知事の力強いリーダーシップのもと「日本一元気なあいち」「すべての人が輝くあいち」をめざしており、全国的にみれば、産業振興の極めて大きな恵みを享受していることを忘れてはなりません。さらに、この愛知には、先達から脈々と受け継がれてきた「子どもありき」「すべては子どもたちのために」という教育理念が根付き、行政機関や教育関係諸団体と、私たち校長会との連携のもとに、子どもたち主体の教育活動が展開されてきています。我らが愛知には、本県ならではの「愛知型学校教育」が存在することも「地の利」としていかなければなりません。
 「人の和」…孟子は「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず」と述べ、「天地人」の中でも、とりわけ「人の和」が大切であると説いています。「教育は人なり」とも言われるように、学校教育の成否は、「人」としての教員の資質能力が大きく関わってきます。私たち校長は、子どもたちの人格形成はもちろんのこと、教職員の資質向上にも取り組む必要があります。
 では、この先の教職員構成は、どのようになっていくでしょうか。私も含めて、この昭和39年生まれで、いよいよ昭和30年代生まれ最後の世代となり、この先は平成時代採用の皆さんが主流となります。就職時には、男女雇用機会均等法が施行され、女性の活躍促進が叫ばれ、本県の女性校長先生方も、今や3割近くまでになりました。また、定年引上げによる61歳以上の正規教員の出現、主任クラス教員の力量向上、若年・中堅層の教員確保等、新たな潮流の変化も起きています。私たち校長は、学校現場における不易を貫く覚悟と流行を受け入れる度量をもちつつ、それぞれの世代のよさを生かせるよう多様性を尊重しながら、「人の和」を大切にした学校運営をしていく必要があると強く感じています。
 以上の3観点を俯瞰しつつ、今年度の県校長会キャッチフレーズは昨年度に引き続き「次代を見据え、高みを目指し、共に歩む」といたしました。大きな変革期を「天の時」として「次代を見据え」、愛知の強みを「地の利」として「高みを目指し」、教育現場の絆を「人の和」として「共に歩」んでいきたいと思います。
 そして、今の子どもたちが未来の大人たちとなること、今日の学校教育が明日の社会をつくっていくことの責任とやりがいを感じ、子どもたちや教職員の幸せにつながるような質の高い教育活動を目指していきたいと考えています。

Copyright 2012 Aichiken Shotyugakko Kochokai All rights reserved.