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私の朝会講話

努力と運

-名古屋・富田中  武田健一-

 若い頃に担任をしたM君の話です。彼は将来、電気関係の仕事に就きたいと工業高校への進学を決めました。その矢先に父親を病気で亡くしてしまいました。数日後、彼から「お母さんを助けたいので、受験をやめて就職に変更したい」と申し出がありました。「大丈夫か」と尋ねると「大丈夫です。高校は定時制に行きます」と笑顔で答えたものの、彼の目からは涙がこぼれていました。大丈夫であるはずのない彼に「大丈夫か」と尋ねた自分を恥じるとともに、まだ15才という若い彼の苦渋の決断に胸が痛みました。
 再会したのは彼が20才の時です。定時制高校を卒業し、仕事も続けているとの報告に胸をなでおろしました。それから15年後の同窓会では、「会社の上司や仲間に恵まれ、仕事は順調です。自分にできる精一杯の努力と運の良さで乗り切ってきました。今は妻も子どももいて幸せに暮らしています」と、あの時とは違う笑顔で話してくれました。
 彼は15才で大変な苦労を背負いましたが、自分にできることを懸命に頑張り、ひたむきに努力してきたからこそ運を引き寄せ、目標にたどり着くことができたのでしょう。
 ぜひ皆さんも、今、自分ができることに全力を尽くし、目標に向かって一歩一歩前へ進んでほしいと思います。

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