自分自身のゴール
-豊橋・天伯小 竹田 敏彦-
「ウサギとカメ」の童話には幾つかの続きがあります。その一つは、カメに負けて悔しかったウサギが、カメにリターンマッチを申し込んだというお話です。今度は油断できないと思ったウサギは、一気にゴールまで駆け抜けて、のろのろやってくるカメを待ちました。ところが、ずいぶん後になってようやくゴールしたカメが大喜びしています。ウサギが不思議に思って尋ねると、カメは「1回目より早く着くことができたから」と言いました。カメは、自分自身の1回目と比べて2回目の方がよかったと喜んだのです。人との比較ではなく、以前の自分との比較です。それによって、自分の成長を実感することができたのです。
私たちの社会では、しばしば「人との比較」が行われます。皆さんが生きていく上で「競争」の場面を避けて通ることはできません。でも、人はそれぞれ能力も体力も違うのだから、人と比べることにこだわり過ぎることは、あまり意味がありません。大事なことは、カメのようにゴールを見据えて自分の最善を尽くすことです。自分の目標を見失わず、あきらめずに努力を重ねていけば、実を結ぶときがきっとやってきます。その達成感が、一人一人にとって、大きな喜びと自信につながると信じています。