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東陸中愛知大会

  分科会研究題と研究の視点

 
第1分科会 「カリキュラム・マネジメント」の推進
解説

 予測困難で急激に変化する社会に生きる子供たちは、未知の状況に対応し、新しい時代を切り拓いていく力を身につけなければならない。そのため学校は、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を形成するという目標を社会と共有しながら、子供たちに育成すべき資質・能力を具体的かつ明確に示し、社会と連携・協働して育んでいくための「カリキュラム・マネジメント」を推進することが求められる。
 子供たちが豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となるためには「生きる力」が必要であり、育成を目指す資質・能力は、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱からなる。
 そこで各学校においては、教科等の目標や内容を見通し、特に学習の基盤となる資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等)や現代的な諸課題に対応して求められる力の育成のために、教科等横断的な学習の充実や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善等が求められており、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上に努めることが必要である。

 

研究の視点
学習指導要領に基づく教育課程の実施状況を把握し、学習効果の最大化を図るための工夫
新しい時代に求められる資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習基盤となる資質・能力を含む)を育成していくための教科等横断的な教育課程の編成・実施・評価・改善
地域の人的・物的資源を有効活用した「社会に開かれた教育課程」の編成・実施・評価・改善

 

 

第2分科会 「主体的・対話的で深い学び」の実現
解説

 VUCA(「Volatility(変動性)」・「Uncertainty(不確実性)」・「Complexity(複雑性)」・「Ambiguity(曖昧性)」)という言葉に代表されるように、先行き不透明で予測困難な時代の中においては、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが必要である。
 そのために、講義型の一斉授業のスタイルから、学習者を主体として他者との協働や課題解決学習などを通じ、深い学習を体験し、自ら思考することを重視する取組が必要になる。その際、自己の主体性を軸にした学びに向かう一人一人の能力や態度を育むという視点をもって、教育課程の編成・実施や質保証の取組を行うことが重要である。
 教師には、習得・活用・探究という学びの過程全体を見渡し、個々の内容事項を指導することによって育まれる資質・能力を自覚的に認識しながら、子供たちの変化等を踏まえつつ自ら指導方法を不断に見直し、改善していくことが求められる。その際、「個別最適な学び」の成果を「協働的な学び」に生かし、更にその成果を「個別最適な学び」に還元するなど、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていくことが大切である。加えて、対面指導の重要性、オンライン教育等の実践で明らかになる成果や課題を踏まえ、発達の段階に応じて、1人1台(一人一台)端末の日常的な活用を「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて推進するとともに、日々の授業改善に取り組んでいくことが必要である。

 

研究の視点
教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせて「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の工夫
全ての学習の基盤となる言語能力や情報活用能力、問題を発見し解決する能力の向上
全ての子供たちの可能性を引き出す、学習者主体の学びの実現に向けた「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実と1人1台(一人一台)端末の活用の推進

 

 

第3分科会 よりよく生きようとする意思や能力を育む道徳教育の充実
解説

 全ての人が自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した一人の人間として互いを尊重するとともに、ウェルビーイングな社会を目指し、その実現に向けた社会的包摂を推進する必要がある。学校や地域社会の一員として参画し、自らの個性を生かして幸せに生活でき、誰一人取り残されず一人一人の可能性が最大限に引き出されることができるようにする上で、他者への共感や寛容性、更には多様性を尊重する態度、人間関係を築く力、異なる考えの人々と議論を重ねながら問題を解決していく力などを育成する機会を計画することが重要である。そのためには、学校教育活動全体を通じ道徳教育の推進を図るとともに、「特別の教科道徳」を要とし、発達の段階に即した計画的、発展的な指導や様々な体験活動等を生かす指導など、道徳的諸価値についての理解を基に、人間としての生き方についての考えを深める授業の充実を図り、生徒の道徳性を養うことが必要である。
 また、現実の問題に対応できる資質・能力を育むためには、道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実するとともに、生徒が自分自身の問題と捉え真正面から向き合い、一面的な見方から多面的・多角的に考え議論していく「考え、議論する」道徳科の授業を実施することが大切である。さらに、各学校や地域等が抱える課題に応じた取組を推進するため、家庭や地域社会と育てたい生徒像を共有し、相互の連携強化を図ることも重要である。

 

研究の視点
道徳的諸価値についての理解と、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度の育成
生徒が自ら考え理解し、主体的に道徳性を育むための指導と評価の工夫
道徳教育推進教師を中心とした協力的な指導体制の充実

 

 

第4分科会 健康で安全な生活と豊かなスポーツライフを実現するための教育の充実
解説

 生徒の体力の状況については、令和5年度体力合計点を前年度と比較すると横ばい、向上傾向と捉えられる結果だった。生活習慣では朝食欠食とスクリーンタイムは更に増加した。授業に対する意識においては、「楽しい」と感じる生徒は「運動時間」が長く、「総合評価、体力合計点」が高いことを示す結果となった。また、「保健を学習してもっと運動したいと思うようになった」と回答した生徒は、日頃の運動時間が長く、高い体力を有し、将来の運動の継続にも前向きであることが分かった。運動やスポーツを、生涯を通じた健康の保持増進につなげるためには、体の発育・発達や病気の予防、けがの防止などの理解が不可欠であり、引き続き保健体育の学習の充実が求められる。
 こうした指摘を踏まえ、生涯を通じて心身共に健康・安全で活力ある生活を送るために必要な資質・能力を育て、心身の調和のとれた発達を図り、健康で安全な生活と豊かなスポーツライフを実現する基礎を培う必要がある。特に、食育の推進並びに体力の向上に関する指導、運動領域と保健領域、体育分野と保健分野との一層の関連を図った指導に努めなければならない。

 

研究の視点
生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現していく資質・能力の育成と体力の向上
食育の推進及び心身の健康の保持増進に関する指導の充実
運動と健康との関連性を深く理解し、より実生活に生かせる保健分野と体育分野の関連を図った授業の充実

 

 

第5分科会 一人一人の社会的・職業的自立に向けたキャリア教育と進路指導の充実
解説

 今日、日本社会の様々な領域において構造的な変化が進行している。特に産業や経済の分野においてはその変容の度合いが著しく大きく、雇用形態の多様化・流動化にも直結しており、また、学校から職業への移行プロセスに問題を抱える若者が増え、社会問題ともなっている。このような状況の中、生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身につけていくことができるよう、「キャリア・パスポート」等を活用し、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ることが求められている。各中学校においては、生徒や地域の実態を踏まえつつ、学校のこれまでの取組などを生かしながら、基礎的・汎用的能力に示される4つの能力(「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」)を焦点化し、具体的な目標を設定していくことが必要である。また、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うことが重要である。

 

研究の視点
社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育成する系統的なキャリア教育の充実
特別活動を要としつつ教育活動全体を通して取り組まれる組織的・計画的な進路指導の充実
学校と地域社会や産業界等が連携・協働した体験的な学習活動の充実

 

 

第6分科会 自己指導能力を育成する生徒指導の充実
解説

 学校教育は、集団での生活や活動を基本としており、生徒相互の人間関係の在り方は、生徒の健全な成長と深く関わっている。好ましい人間関係を基礎に置き自他を敬愛し他者と協働しながら自己実現を図るための自己指導能力を育成することは、人格のよりよい形成と学校生活の充実の基盤となる。昨今、子供たちの多様化が進み、様々な困難や課題を抱える児童生徒が増える中、学校教育には、子供の発達や教育的ニーズを踏まえつつ、一人一人の可能性を最大限伸ばしていく教育が求められている。こうした中で、生徒指導は、一人一人が抱える個別の困難や課題に向き合い、「個性の発見とよさや可能性の伸長、社会的資質・能力の発達」に資する重要な役割を有している。
 平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法に基づき、組織的な対応と関係機関との連携の強化等が図られているにもかかわらず、いじめの重大事態の発生件数は増加傾向にある。また、児童生徒の自殺者数や不登校児童生徒数も増加傾向にあることを踏まえ、各学校では組織的、継続的な支援・取組を更に充実させるとともに、家庭や地域及び関係機関、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフ等との連携を一層充実させる必要がある。

 

研究の視点
好ましい人間関係を築き、他者と協働しながら自己実現を図るための自己指導能力を育成する学校教育の在り方
いじめ問題への対応や自殺の防止及び不登校生徒への支援の在り方
家庭や地域及び関係機関、専門スタッフ等との連携・協力を密にした生徒指導の推進

 

 

第7分科会 「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成
解説

 「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師となるためには、教師自身が技術の発達や新たなニーズなど学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて探究心をもちつつ自律的かつ継続的に新しい知識・技能を学び続ける主体的な姿勢が必要である。
 また、全ての子供たちの可能性を引き出す、「個別最適な学び」と、「協働的な学び」の一体的な充実を図り、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた取組を進化させ、教育の質を向上させる能力、さらに、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての能力も備えていることが求められる。今後、あらためて教師が学びに関する高度専門職として認識されるためには、地域や学校現場の課題の解決を通した学びを含め、自らの日々の経験や他者から学ぶといった「現場の経験」も含む学びのスタイルの多様性の重視は「新たな教師の学びの姿」を構想する上での鍵となる。さらに、子供たちの学び(授業観・学習観)とともに教師自身の学び(研修観)を転換し、「新たな教師の学びの姿」を実現していくことや、教師自らが問いを立て実践を積み重ね、振り返り、次につなげていく探究的な学びを、研修実施者及び教師自らがデザインしていくことが求められる。また、教員養成段階から、生徒にプログラミング的思考、情報モラル等に関する資質・能力も含む情報活用能力を身につけさせるためのICT活用指導力を養成することや、学習履歴(スタディ・ログ)の利活用などの、教師のデータリテラシーの向上に向けた教育などの充実を図っていくことが求められており、現職の教師に対してはICT活用指導力の一層の向上を図ることが急務である。さらに、心理や福祉、看護等の専門スタッフなど多様な人材と協力したり、地域と連携・協働を円滑に行ったりする資質・能力をもち、新たな領域の専門性を身につけるなど強みを伸ばして諸課題の解決に取り組むことができる人材の育成が求められる。

 

研究の視点
生徒や保護者、地域の信頼に応えられる教師の育成と「新たな教師の学びの姿」を実現する研修の在り方
教科等の専門性と指導力、及びICT活用指導力を含めた新たな課題に対応できる力量を高める人材育成と研修の在り方
地域等と協働し、組織的に諸課題の解決に取り組むことができる教師の育成

 

 

第8分科会 学校と地域の連携・協働による「チームとしての学校」と「働き方改革」の実現
解説

 学校には、これまでにも新たな課題に応じて、司書教諭、栄養教諭等の新しい職が導入されてきた。近年は、ますます複雑化・多様化する教育課題に対応するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員等の教員以外の専門スタッフが導入されている。そのため、これからは教職員間のより一層の組織的対応を強化することはもちろん、全てを教職員が担う自己完結型の運営を廃し、これら専門スタッフの配置促進と協働を推し進め、学校内の多様な人材がそれぞれの専門性を生かして能力を発揮する「チームとしての学校」を実現していくことが求められる。また、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)等を活用するなど、「チームとしての学校」と地域の連携体制を整備していくことで、地域とともにある学校づくりを推進し、社会総がかりで教育を進めていくことも求められる。また、その結果として、教師が担うべき業務の精選・明確化などを図り、新たに導入された教員業務支援員、情報通信技術支援員等を活用し、教員の働き方改革につなげていくことや、学校事故の対応等の諸課題について教育委員会等に配置されているスクールロイヤー等を活用しての法的整理を踏まえた役割分担・連携が必要である。さらに、子供たちがスポーツ・文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保するため、地域の実情に応じながら、部活動の地域連携や地域スポーツ・文化クラブ活動移行に向けた環境の一体的な整備を着実に進めることも求められる。
 こうした「チームとしての学校」と「働き方改革」の実現のため、校長は、これまでの教職員の管理を主とするマネジメントから脱却し、多様な知識・経験をもつ人材との連携を強化し、そうした人材を取り込むことで、社会のニーズに対応しつつ、高い教育力をもつ組織となるためのマネジメントを進めていく必要がある。

 

研究の視点
教職員や多様な人材の専門性を活用し、組織力を高める学校経営の在り方
「チームとしての学校」と地域の連携・協働体制の在り方
専門スタッフ等との連携による教員の働き方改革の実現

 

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