会長あいさつ

「共に学び 対話を重ね 未来を拓く」

愛知県小中学校長会長加藤 広也

会員の皆様のご推挙により、令和8年度の愛知県小中学校長会の会長を仰せつかりました、長久手市立北小学校の加藤広也と申します。もとより微力ではございますが、皆様のお力添えをいただきながら、その職責を全うする所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

本年度、本会は新たな校長先生方をお迎えし、989名の組織となりました。

先日開催された令和8年度愛知県小中学校長会総会は、第80回という節目の会となりました。この歴史の重みを前に、過去の歩みをひもときますと、そこには歴代の先輩方の苦悶と情熱の足跡が、克明に刻まれていました。そして、どの時代も校長会は常に最前線に立ち、行政当局や教育関係諸団体の皆様と緊密な連携を図りながら、愛知の教育の礎を築いてきました。特に、物資も資金も乏しかった時代、子どもたちの学びのともし火を守り、教師が誇りをもって教壇に立てるよう心血を注がれた先輩方の回顧録からは、言葉に尽くせぬ気概が伝わってまいります。こうして先輩方がつないでこられた「心のバトン」の重みを深く受け止め、次代へ受け継いでいく決意を新たにしております。

現在に目を向けますと、学校における働き方改革や部活動の地域展開、教職の魅力発信、人材育成など、取り組むべき課題は多岐にわたります。中でも、学校への信頼を揺るがす不祥事の根絶には、断固たる決意で臨まなければなりません。
 また、次期学習指導要領を見据え、中教審の論点整理で示された「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」する、質の高い教育活動を一層推進していくことが求められています。

しかし、これらは一朝一夕に成し遂げられるものではなく、私自身、日々、理想と現実の間で葛藤し、立ち止まることも少なくありません。そんな時、私は愛読している警察小説に登場する指揮官の姿に、自らの理想を重ね合わせます。難事件を解決へと導くそのリーダーシップには、校長職にも通じる4つの要素があると感じるからです。
 第1に、しなやかな感性で現場の小さな違和感を大切にし、声なき声に耳を傾けること。
 第2に、複雑な状況をシンプルに整理し、解決への確かな道筋を指針として示すこと。
 第3に、迷った時こそ原理原則に立ち返り、その上で自らの信念に基づいて揺るぎない決断を下すこと。
 第4に、解決の糸口を見いだしたなら、柔軟かつ合理的な手法で組織の機動力を最大限に発揮させること。

これらはフィクションの話ではありますが、日々困難な判断に直面する私に、多くの示唆を与えてくれます。何よりも「ゆるぎない軸」と「しなやかな柔軟性」を兼ね備えたリーダーの姿は、周囲に安心感を与え、信頼を築く礎となります。そんなリーダー像に近づきたいと研鑽に励む日々ですが、その資質・能力を一人で磨き続けることは容易ではありません。
 だからこそ、私は互いの実践や経験を共有し、学び合う場として、校長会活動を大切にしたいと考えます。

約40年前の記念誌に、当時の会長がこう記されました。
 「校長会は、内にあっては現場の責任者としての力量を高め合い、外にあっては国家百年の将来展望に立ち、行政・各団体と協調の心で活発に話し合い、力を蓄えていかなければならない」
 この言葉は、本年度のキャッチフレーズ「共に学び 対話を重ね 未来を拓く」に通じる、本会の不易なる精神を示すものです。このキャッチフレーズの下、調査研究・対策活動や研修会、また率直に意見や情報を交換できる場を積極的に展開してまいります。さらに、これらの活動を基盤に、現場の声を関係機関に届け、教育条件整備の充実や教育課題の解決に尽力してまいります。

私は、校長という職は、大海原を航海する船の船長のようであると感じています。そして、荒波を乗り越え、最適な航海を続けるための「羅針盤」となり、苦楽を共にする仲間が集う「港」となる存在。それこそが、校長会活動の意義であると考えます。航海の道のりは989通りですが、「子どもたちの未来」という同じ目的地を目指し、共に力強く歩みを進めてまいりたいと存じます。