仲間を大切にする心を育てるたてわり活動の取組み
-名古屋市立橘小学校-
1 はじめに
本校は、名古屋の中心部に位置し、138年目を迎える歴史ある学校である。
名古屋仏壇づくり見学中
地域には、伝統工業である名古屋仏壇の作業所が多くあり、6年生が、仏壇づくりの話を聞いたり、金箔はりを教えていただいたりしている。
学校では、その6年生を中心として、仲間を大切にする心を育てる「たてわり活動」を年間を通して行っている。
2 たてわり活動の概要
(1) 活動の歴史
昭和50年ごろ、古くからの商店や住宅が多かったこの地域に大規模住宅が建設され始めた。その状況を見て「今後、この地域において異学年同士の関係が希薄になる」と懸念した当時の職員がたてわり活動を開始した。以後、脈々とその時々の職員の努力により引き継がれてきている。
(2) 取組みの概要
たてわりグループは、通学分団を基にして、前年度末にたてわり担当、4・5年・特別支援学級担任、分団担当、養護教諭・教務・校務が班編成する。新年度、班長を6年生で話し合って決めている。多くの児童が立候補している。
常時活動としては、毎日の清掃や児童集会がたてわりグループで行われている。
また、たてわり行事として「チャレンジランキング集会」「遠足」「ゲーム大会」「お別れの会」が実施されている」
(3) 常時活動「たてわり清掃」
いっしょに机を運ぼう
たてわり清掃を行うまでには次のような手順がとられる。
【たてわり出会いの会】
編成されたグループで自己紹介したりぺアや小グループを構成したりする。
【たてわり清掃計画の会】
清掃のぺアで、清掃計画表を作成する。また、清掃箇所に行き清掃の方法を確認し、反省会の仕方を知らせる。
【たてわり清掃開始】
4月下旬よりたてわりの清掃が間始される。高学年は低学年に清掃の仕方を教えながら担当場所の清掃活動を行う。
(4) 行事「たてわり遠足」
昨年度はグループごとに地下鉄で庄内緑地公園に行き、スコアオリエンテーリングを行った。安全を守るために、個々の職員の当日の細かい行動まで綿密に計画されている。
(5) 行事「6年生を送る会」
オリエンテーリングに出発
たてわり活動で中心になった6年生に感謝する会である。準備したメッセージカードを渡したり言葉や歌で感謝の気持ちを伝えたりしている。
この会は、5年生主催のため、1月下旬に6年生と5年生の「引き継ぎの会」が実施される。清掃や児童集会などの活動の仕方が伝授され、活動の中心は5年生に移る。6年生は支援に回っていく。
(6) 子ども情報交換会
たてわり活動は、学級を離れて活動するため、担任は児童の様子がつかみにくい。そのため、普段は、職員全体で気付いたことをメモで担任に伝えている。また、各学級で朝の会にたてわり活動でうれしかったことや困っていることを聞く機会を設けている。
これを受け、年間5回、職員全体で「子ども情報交換会」を開き、たてわり学級の様子や朝の会で出された意見など、情報を交換している。児童の頑張りや思いやりのある行動を多くの人が認めて伝え合うことができるので大きな意義がある会だと考える。
3 おわりに
「卒業生にあこがれ、自分もあのようにみんなをまとめたいと思って班長に立候補した」と話す6年生が多い。また、班長だけに活動を任せるのでなく、高学年は低学年を大切にし、よりよい活動になるよう努力している。低学年も高学年を信頼して行動している。
このような児童は一朝一夕には育たない。30年以上の歴史の中で、見直しながら継続した活動ゆえの成果だと考える。人とのつながりが希薄になってきた今、仲間を大切にする心を育てる意味で、これらの活動を大切にしていきたい。
(文・写真 久野千津)