地域の自然や人とのかかわり合いを生かした小規模校の取組み
-幸田町立坂崎小学校-
はじめに
坂崎小学校は、幸田町北部の田園地帯に位置し、岡崎市と接する山からの川が学区の中央を貫いている。
取組みの概要
(1) 里山整備
「里山保存会」の方から、整備ができたら遊びに来てほしいと誘われた。そこで、自分たちの里山を意識させるために、整備を手伝わせていただくことにした。小学生でもできる安全な活動を考えていただき、地域の方々と一緒に汗を流し、整備を進めている。
里山整備をする5・6年生
伐採された下枝を集めたり、椎茸の菌打ちをしたり、せせらぎの落ち葉を除去したりした。このような活動を、3年来6年生が行っている。3月には、5・6年生が一緒に活動し、作業の引き継ぎをした。
(2) イチゴ作り
地元のイチゴ農家の方が、材料を提供してくださってイチゴハウスができた。6年生がイチゴ栽培を担当し、11月から3月までたくさんのイチゴが採れる。イチゴのまま食べることもできるが、プロのパティシエを招き、イチゴケーキ作りを学び、そのケーキをお世話になった地域の方々に差し上げている。
(3) 稲作
ケーキ作りを教わる6年生
学校が所有する学校田で、5年生が稲の栽培を担当している。前年度は200㎏余りの収穫があった。畑で採れた野菜も使って、「ハーベストフェスティバル」を開催し、全校児童、保護者、坂崎保育園児を招いた。五平餅の味噌はプロの指導を受けて作った。五平餅を焼く炭は、自分たちで焼いた竹炭を使った。
(4) その他
○ 食育
地域の方から借りた畑を使って、特別支援学級を含めた全学級が野菜栽培をしている。収穫した野菜を食べたり、家 に持ち帰ったりすることで「食育」を推進している。嫌いな野菜も、自分たちで育て成長を楽しみにしてきた時には食べられるようになることが多い。
○ 遊育
20分休みを2回設定し、全力で遊ぶ時間と場所を保障し「遊育」を推進している。全校や学級でのレクリェーションをすることもあるが、自由な遊びが多い。そこで、他者を気遣う、自分自身に挑戦する、ルールを守る、我慢することなどを学ぶことができる。
○ 学区の施設との交流
近くにある保育園とは、収穫物のプレゼントや遊びの交流など、頻繁に行き来している。また、小学校職員が夏休みに保育園で、保育の実際を体験させていただいている。お陰で小1プロブレムを感じることなく小学校生活を始めることができる。
特別養護老人ホームや病院に通院する患者さんとの交流も意識的に行っている。お年寄りや患者さんの喜ばれる顔に触れ、子どもたちは「人に喜んでいただくことの喜び」を肌で感じ取っている。
保育園で流しそうめんをする6年生
○ 感性の育成
自然や人々の様子を敏感に感じ取る感性の育成は、これからますます大切になっていくと考える。感性の育成はなかなか難しいが、本校ではその一つの手段として俳句作りをしている。
赤とんぼ 夕日の中に 消えちゃった
5年生の句である。柔らかい感性をもつ子をたくさん育てたい。
おわりに
ほかにも、老人クラブとの交流、全校縦割り班による掃除などの活動も行っている。学校経営の特色としては、地域の自然や人々との密接なつながりを第一に思いつく。第二は、全校児童数200名弱という小規模を生かした、小回りの利く取組みである。
今後も一人一人が輝く坂崎小学校を意識して学校経営に取り組んでいきたい。
(文・写真 山田富久)