生涯にわたって健康に生きる力を育てる取り組み
-名古屋市立幅下小学校-
1 はじめに
本校は、名古屋高速や外堀通りなど交通量の多い幹線道路に囲まれている。学校の南西には明道町の菓子問屋街、東の端には堀川、北東には名古屋城を望む。南東には四間道(しけみち)や美濃街道が通り、屋根神様がまつられるなど歴史豊かな地域でもある。
昨年本校は、開校140周年を迎えた。学区の方が学校に愛着をもち、学区や子ども会の行事が盛んな地域である。
特に、学校医の先生方が子どもたちの健康教育に熱心であり、昭和30年代から歯科衛生や心身の健康についての取り組みが続いている。
2 学校経営方針と健康教育
本校では、学校教育目標の具現化の一つの柱として、「望ましい食・生活・運動習慣を身に付けることができる子」を設定している。実際には学校内連携(学級担任・養護教諭・学校栄養職員・保護者)と学校外連携(学校医・学校歯科医・学校薬剤師・警察・民間団体)を行っている。健康教育の推進は、養護教諭がコーディネーターとなり、教職員全員の共通理解を得ながら行っていて、学校医との連絡も密にしている。
3 健康教育の概要
目の仕組みを説明
(1)学校医(内科・眼科)、学校薬剤師が行う保健講話
毎年、5・6年生を対象に、実態に即した話題で、講話をしていただいている。
内科医からは、「体温について」をテーマに、人間は恒温動物であることを前提とした講話があった。体の熱を作る仕組みや体温コントロールの仕組み、熱中症や日射病の予防法や治療についての話を聞いた。
眼科医からは、「物の見える仕組みと視力について」をテーマに、眼球の断面図を使った講話があり、その後、子どもの質問に答える形で進められた。子どもたちからは、「なぜ目が悪くなるのか」「めがねとコンタクトレンズの違いは」「目によい食べ物は」などの質問が出された。
学校薬剤師からは、「くすりはサポーター」をテーマに、人は自然治癒力を持っており、薬は病気を治すものではなく、早く治るように自然治癒力を高めるものであるとの講話があった。薬の用法・用量を守ることの重要性についても話があった。
(2)学校歯科医・養護教諭による歯肉炎予防教室
歯肉炎予防の授業
毎年6月、4年生を対象に学校歯科医による指導を実施している。歯垢の染め出しをし、自分の歯磨きの仕方を確かめるとともに、「歯と歯の間の歯肉が三角形になっているか」「歯磨きをすると歯肉から出血しないか」という観察の観点をもつことをねらいとする話があった。
(3)学校栄養職員による食に関する指導
骨に関する授業
食に関する指導全体計画に基づいて、全学年で実施している。4年生では、「じょうぶな骨を作ろう」という指導内容で授業を行った。
頭蓋骨や肋骨に目を向けさせ、骨がなかったらどうなるかを考えさせることにより、骨の役割について理解させた。骨粗鬆症の人の骨と健康な人の骨の断面を画像で比較し、骨を丈夫にする方法を考えさせた。
これまで、骨についてはあまり関心を示さなかった子どもたちが、色々な食べ物を食べることや運動、夜早く寝ることの重要性に気付いた。
(4)おわりに
小学校の時だけでなく、生涯にわたって健康に生きることができる子どもたちを育てたいと願い、長年にわたって取り組みを続けている。
学校医による保健講話では、毎年タイムリーな話題が提供され、その積み重ねによって子どもたちの健康が維持されていると感じる。今後も健康教育の取り組みを推進していきたい。
(文・写真 佐藤 佳子)