子どもの瞳が輝く授業づくり
「もっと~したい(よく)」が生まれる学習活動
-東郷町立兵庫小学校-
1 はじめに
開校9年目の本校は、東郷町内でいちばん新しい学校である。名古屋市の東に広がる丘陵地に位置し、新興住宅地にある。明るく素直な児童が多い。
本校の校訓は「夢をえがき 未来をひらく」である。「夢をえがき」には、「いつでも夢を語ることができる子であってほしい、憧れをもって成長してほしい」という願いが、「未来をひらく」には、「夢や目標をもったとき、それに向かって自らの力で進んでいってほしい」という願いが込められている。
本校では、平成25年度から、「子どもの瞳が輝く授業づくり-「もっと~したい(よく)」が生まれる学習活動を通して-」をテーマとし、研究を進めてきた。
学ぶことを楽しむことができる児童を育成するためには、教師が児童にとって楽しい授業を行っていくことが重要であると考えた。児童から「もう終わり?」「もっとやりたい」という声が聞こえてくる授業、児童が主役になり、発見や共感の生まれる授業を目指し、教師自身も「分かりやすい授業をしたい」「子どもの笑顔が見たい」という意欲をもって、研究に取り組んできた。
2 研究の概要
「わっ、やってみたい」
次の三つを中心の手だてとして研究を進めた。
▼メイク&デザイン (授業をつくる)
授業づくりのプロセスを見直し、教科の系統性を考えながら、児童の反応の充実を図ったり、評価を細かく設定したりして、児童の顔が見える指導案の作成を心がけた。
▼ウォッチ&キャッチ (児童の姿をとらえる)
授業づくりをする上での情報として教師の直感を大切にしながら、教師の観察の裏付けや、観察と実態のずれを補うために、Q-Uと自己効力(学習場面に直面した時、「ぼくにもできる」という学習能力に対する自信や信念)測定尺度調査を実施した。特に児童の行動には表れにくい意欲をとらえる視点として、「自己効力測定尺度」を活用した。
「こうやってみよう」
▼パフォーム&チェック (実践する)
まず、意欲を喚起するために、学習の見通しをもたせ、課題に対する期待が高まるような手だてを考えた。次に、教え合い、認め合い、成果を共有する体験を意図的に取り入れ、意欲が続くような手だてを考えた。最後に、できた喜びを実感させる振り返りの場を設け、次への意欲へつなげられるような学習展開を考えた。これらの手だてを、「ついつい」「どんどん」「ぐんぐん」というキーワードとし、各教科の取り組みを進めた。
3 研究の成果
自己効力は、学年が上がるにつれ、数値の低下が見られるものであると言われている が、低下した項目が少なく、数値を維持することができた。授業づくりが、児童の意欲を高めることにつながった結果と言える。意欲を喚起する「ついつい」では、「やってみたい」という声が聞かれ、指示される前にやり始める児童の姿が見られた。意欲を継続する「どんどん」では、児童同士の交流により、「自分はやれている」「そうやればいいのか」といった思いから、考えを深める児童の姿が見られた。次への意欲につなげる「ぐんぐん」では、夢中になっていた活動を止めて振り返る時間に、「もう終わり?」という声を聞くことができた。
4 おわりに
「よし、いくよ」
本校の取り組みは、原点に返り、当たり前のことを当たり前にできるようにするというものである。その中で、自己効力という考え方を学んだことにより、教師としての視野を広げることができた。授業に対して「私たちにもできる」という気持ちが高まってきたことを実感している。今後も着実に歩みを進めていきたい。
(文・写真 内藤 湖南)