言語障害通級学級 「にじ組」の学習
-名古屋市立成章小学校-
1 はじめに
本校は平成29年度に開校50周年を迎える、学級数9学級、児童数およそ250人の小規模校である。本校には、平成9年度より言語障害通級学級が設置されている。言語障害通級学級は、名古屋市内に本校を含め小学校8校に設置されている。
2 言語障害通級学級について
個別指導の様子
本校の言語障害通級学級は、「にじ組」という名称である。正門の奥に体育館への渡り廊下があり、そこには虹の飾りが施され、「虹の架け橋」と呼んでいる。この渡り廊下から直接にじ組に通うことができる。通級児童が希望をもって通級できるようにという願いが込められている。
にじ組は話し言葉の困りごとのために、本来の能力を十分に発揮できない児童に対して、その児童に応じた指導を行っている。そして困っている状態を改善したり、児童自身が克服したりできるようにし、もっている力を十分に発揮できるようにする。また、学校生活へ適応する力を高めることによって、豊かな人間性をもった児童の育成を図ることを願い運営している。
そして、次の点に配慮しながら指導に当たっている。
- 明るい雰囲気の中で、楽しく指導が受けられるように、児童の「話す」意欲を高める。
- 医学的・心理的・教育的診断のもとに、適切な指導を行う。
- 在籍学級や家庭、関係機関との連絡を密にし、指導を行う。
通級の対象となる児童の主訴は「きつ音」と「構音障害」「言語発達の遅れ」である。
「きつ音」とは言葉がなかなか出なかったり、最初の音に繰り返しが起こったりして、流ちょうに話せない状態である。僕を「ぼぼく」と言うような場合である。「構音障害」とは、口や舌などの発声発語器官を上手く動かすことができない状態である。さかなを「ちゃかな」と言うような場合である。「言語発達の遅れ」とは、話す、聞くなどの言語の基礎的な事項に遅れのある状態である。
在籍する児童は「自校通級」と「他校通級」に分けられる。自校通級とは本校に在籍する児童である。他校通級は、区内もしくは近隣の区から通う児童である。それぞれ週1回
程度、学習している。
保護者の参観の様子
3 実際の指導の様子
指導は一対一で行う。保護者は教室の隣の控え室で待機する。教室と保護者控え室の間はマジックミラーで仕切られている。保護者は、学習の様子をマジックミラー越しに見ることができる。また、発音が聞こえるように声も控え室に流している。
指導の一端は、次のようなものである。
- 構音器官の運動機能を高める練習
舌、唇や下あごを動かしたり、呼気を調節したりして、構音器官の機能を高める。 - 音を正しく聞き取る練習
正しい構音を聞き取ったり、聞き分けたりする練習を行う。 - 正しい構音操作を習得する練習
口の形・舌の位置・呼気の出し方などの操作を習得できるように練習する。
また、年度末に、通級に在籍する児童・保護者・在籍校担任が参加する「にじ組集会」を行っている。1年間学んだことを発表する活動を通し、話すことに自信をもてるようにするねらいで行っている。
にじ組集会での発表の様子
4 おわりに
インクルーシブ教育や合理的配慮の必要性・重要性が高まっている。今後、通級学級の重要性も高まると考える。そして、通級の対象となる児童への温かい支援と共に、障害への正しい理解ができる児童の育成を目指したい。
(※平成28年度より 長須賀小学校)