地域の教育力を生かす活動
-長久手市立西小学校-
1 はじめに
開校44年目を迎えた本校は、長久手市の西部に位置し、児童数500人余りの中規模校である。校区は名東区に隣接しており、藤が丘駅から東部丘陵線(リニモ)が東西に走っている。校区内は都市化が進んでおり、転出入も多いが、地域コミュニティの活動は盛んである。
地域(家庭を含む)の学校教育への関心は高く、大変協力的である。また、地域の教育力も高く、様々な場面で児童のために力を発揮している。その中から、囲碁クラブ・音楽クラブ・棒の手部の活動について紹介する。
世代を超えての対局
2 囲碁クラブ
発足して3年目の囲碁クラブは、今年度、12人で活動している。講師のプロ棋士は保護者で、地元の囲碁愛好家グループのメンバーも指導に加わっている。児童の吸収力はすばらしく、めきめきと腕を上げている。児童と愛好家の対局では、世代を超えて真剣に碁盤に向き合っている姿が微笑ましい。
ヴァイオリンの練習
3 音楽クラブ
音楽への関心が高い地域性を生かして、今年度、音楽クラブを立ち上げた。地元のヴァイオリン奏者とその弟子が指導に当たっている。14人の児童全員にヴァイオリンが行き渡るよう、地元の楽器店も協力している。回を重ねるごとに美しくなっていく音色から、児童の無限の可能性を感じる。
4 棒の手部
長久手市近隣に伝わる伝統芸能「棒の手」は、県の無形民俗文化財に指定されており、市内でも様々な流派がある。長久手市の「警固祭り」は、市民の魂ともいえる伝統行事であり、そこで披露される「棒の手」は祭りに欠かせないものになっている。「棒の手」の演武は、原則として男性が行うことになっているが、転出入の増加等により、伝統の継承が困難になってきていた。
学習発表会での演武
このような背景から、本校では、地元の名手の方々が平成13年度に独自の「西小流棒の手」を創設した。「西小流」は女子にも門戸を開いており、今年度も8人中2人の女子が参加している。名手の方々の熱い指導により、部員たちは、型だけではなく心も受け継いでいる。そして、平成14年度より毎年、学習発表会において、全校児童と保護者・地域の方々の前で堂々と演武を披露している。その姿を観て、地域の伝統のすばらしさを感じ取り、大切にしていこうとする気持ちが育まれていくことを願っている。
5 おわりに
児童の健全な成長には、地域の教育力が必要不可欠である。本校の教職員も、地域が関わる祭りやイベントに積極的に参加することで、地域の活性化に寄与して信頼関係を深めている。
学校・家庭・地域が連携・協働し、一丸となって児童を育てる。そんな「チーム西小学校」といえる体制を、今後も更に深化・発展させていきたい。