自己有用感を高め主体性を引き出す学校づくり
-知立市立知立南小学校-
1 はじめに
ここ数年、教師の働き方改革やコロナ禍、Society5.0の新たな社会の到来に備えるGIGAスクール構想など、さまざまな波が押し寄せた。学校の在り方を根底から見直さなければならない時が来ていると感じざるを得ない。そんな中、昨年度、知立市教育委員会より2年間の委嘱を受け、学校を変えるための研究を行うこととなった。
2 マネジメントの実際
引き継いだ校内田んぼ
予測困難な未来を切り拓き、持続可能な社会を創り出していく力。そんな力を子どもたちに育むため、主題を「未来をいきいきと切り拓く子どもの育成」とした。そして、総合的な学習の時間や生活科で取り組む「いきもの学習」で、ESD活動を中心としたカリキュラム・マネジメントに着手し始めた。行事を含めたカリキュラム改革を基に、主体的で、自己有用感を高める子どもたちを育てていきたいと考えている。
「いきもの学習」では、子どもたちの思いや願いを出発点とする。活動の中から出てきた課題を解決しながら、自分の考えをもち、更なる活動へと動き出す。教師は、この活動をPDCAのサイクルを意識させ、支援をしていく。さらに、子どもたちの意識や考えを他教科と横断させることで深め、発展させる支援を行っていく。これをESDカレンダーにまとめ、教科横断的なカリキュラムとした。校内には、昨年度の6年生が地域のNPO団体とともに作り、今年の5年生が引き継いだ田んぼがある。
行事についても、今までの学芸会や運動会を廃止。新たに起こしたのは、2月に行われる「いきいきタイム週間」である。「いきいきタイム」とは、もともと本校では、総合的な学習の時間の発表を行う時間であった。それを拡大して、今年の「いきもの学習」で取り組んだ活動を、課題を含めて次の学年に伝える場にした。更には他学年を巻き込んだフェスティバルを企画することも可能な場と考えている。昨年度は新型コロナウイルスの影響もあり、まとめと伝達だけで終わってしまったが、子どもたちの発想を広げていける時間にしたい。
自分たちでつくる運動会
また、運動会は、スポーツフェスタと半日開催の運動会の2つに分けた。スポーツフェスタは、ボール投げやなわとびなど、運動委員会で考えたさまざまな種目に、全校児童が取り組む。休み時間には高学年の指導の下、練習する。運動委員会だけでは人数が足りないので、種目ごとでプロジェクトを立ち上げ、高学年に運営の有志を依頼した。また、新たな運動会は5月に行っていたものを10月にし、各学年がダンス等を披露する。高学年では、自分たちでダンスの振り付けを考え、タブレットで踊り方を撮影したものを夏休み前から皆で共有して練習に取り組んだ。さらに、「自分たちでつくる運動会」を掲げ、運営自体も子どもたちで取り組み、子どもたちの達成感は半端ないものになった。
3 おわりに
このような子どもたちの主体的な取組を、地域とともに支えていきたいと、3年前から本校独自のコミュニティ・スクールを立ち上げた。子どもたちの自己有用感を高める取組を、今後も持続し、さらに発展していけると確信している。