持続可能な学校行事~47回目の米作り~
小牧市立三ツ渕小学校
1 はじめに
小牧市は、「こどもの夢を育み、夢への挑戦をみんなで応援するまち」「こどもを中心にすべての世代がつながっているまち」を目指し、「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現」を目標に活動してきた。それが評価され、令和3年度、「SDGs未来都市」に選定された。小牧市にある小中学校でも、その考え方に基づき、教育活動を今一度見つめ直してきた。
2 取組の実際
学年一列になっての田植え
本校の特色といってまず思い浮かべるのは「米作り」である。昭和52年度から始まり今年度で47回目を数える。児童が行うのは田植えと稲刈りで、除草や施肥、農薬散布等の作業は、全て地域の米農家の方々(田んぼボランティア)に担っていただいている。また収穫後の乾燥や精米の依頼、とれた餅米を使っての餅つきまで、地域の方主導で行われてきた。
しかし、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、今まで行ってきた米作りを中心とするイベントが実施不可能になった。方法を工夫しながら何とか田植えと稲刈りは実施したものの、餅つき等は取りやめになった。そんな中、小牧市がSDGs未来都市に選定されたことを機会に本校の米作りを持続可能なものにすることについて、真剣な議論が行われるようになった。
持続可能な米作りとするための方策として、まずは次の2点を考えた。
① 地域の力を借りながら、学校主導で行う米作り
② 学習効果の高い米作り
児童、保護者、地域が一体になっての稲刈り
本校の米作りは、前述のとおり、良くも悪くも「地域主導」で進んできた。しかし、ボランティアの方の高齢化が進み、全ての取組を地域にお願いすることに限界が出てきた。そこで市の農政課と協議をし、農協の「食育事業」を利用することにした。これによって、農協の力をより大きく借りることができるようになった。また、コロナ禍を境に餅つきを行わなくなったので、農協のすすめで栽培する米をうるち米に変更した。このことによって地元の農家さんの負担をかなり軽減することができた。この工夫により、ボランティアの若返りも徐々に進んでいる。
次に、本校の教育活動の中での米作りの価値を上げることを考えた。教育的価値が高ければ、それだけ児童の力となり、地域や保護者からの賛同も得やすいと考えたからである。それぞれの学年で産業としての米作りや収穫した米、生育途中の稲などを教科教育に生かすよう、カリキュラムマネジメントを行っている。地域の力で長年継続できていたがゆえに、そこに目を向けてこなかったのは宝の持ち腐れであった。理科や社会科、食育やキャリア教育など、広く米作りを生かしていくことを検討し、実施している。特に、うるち米を収穫するようになったことで家庭科の調理実習でも利用できるようになった。自分たちで育てた米を調理して食べることは、家庭科の目標を超えた教育効果も期待できるのではないかと考えている。
3 おわりに
コロナ禍を経験し、米作りをはじめ運動会や宿泊行事等で従来どおりを脱却し、教育的価値を見直し、持続可能な方法を再構築している。まだ課題はたくさんあるが、目標を見失うことなく進めていきたいと考えている。