言葉の向こうにある思い
-知立・竜北中 吉富 靖-
先日、友人とした話を紹介します。彼は、中学生のとき、お弁当の日が嫌だったそうです。手が不自由な母親が作ったお弁当は、見栄えが悪く、恥ずかしかったようで、「お弁当はお店で買うから、作らなくていい」と彼は母親に言いました。高校生になると給食がないので、彼は毎日パンを買って学校に通ったそうです。
しかし、高校2年生のある日、突然、母親から「お弁当を作ったから持って行きなさい」と言われました。それからは、母親が毎日お弁当を用意してくれたそうです。
この話には、続きがありました。お弁当をうまく作ってあげられないことを申し訳なく思った母親が、近所の料理屋で1年間、お店を手伝いながら料理を教えてもらっていたそうです。そのことを、先日初めて知ったと彼は話してくれました。「お弁当を作ったから持って行きなさい」、この言葉の向こうには、母親の1年間の努力だけでなく、わが子への愛情やお弁当をうまく作ってあげられなかったことへの申し訳なさなど、たくさんの思いが詰まっていたのでしょう。
みなさんには、ぜひ、言葉の向こうにある思いを感じられる人になってほしいと思います。毎日の学校生活で、かけがえのない経験を積み重ね、言葉の向こうにある思いを感じられる優しい人に成長してください。